超訳『資本論』 2008/12/21
〈的場昭弘、祥伝社新書、2008年〉
今まで『資本論』を読もうと思ったこともないし、またこれからもその原文に向き合うことはない、かもしれない。けれどこの新書を読んでみたのは、「超訳」とはいったい何を指すのかに、興味があったからなのだった。
勉強として『資本論』を読む学生に向けてではなく、まさに社会にあって働く人たちに、自分の問題として読んでほしい――その意図は伝わるし、引き込まれるところもあった。「超訳」という言葉を平たく言ってしまえば、エッセンスの要約、ということになるのだろうか。何せ原文を読んだことがないので、それが成功しているかどうかは判断できないけれど、少なくとも面白そうだ、という感じは抱いた。その意味では、『資本論』への導きとしての役割は果たしているかもしれない。
よく、労働力についても「売り手市場」とか「買い手市場」という言い方をする。就職氷河期に仕事を得て、どうやら正社員という働き方をしている自分にとっては、まさに「買い手市場」の中で、いかに雇用側にとって「美味しい」人材であるか――ということに汲々としてきた。あるいは、「自己実現」や、「やりがい」や、人を仕事に駆り立てる、前向きらしい言葉ばかりに踊らされてきた、ような気もする。そこに「搾取されている」という発想は生まれない。
もちろん、「働く」とは、賃金だけで割り切れる営みではないと思うのだが、いったい自分が、「何のために」働いているのか、社会のどんな仕組みの中に、組みこまれてしまっているのか、思いを致すきっかけを与えてくれる本ではあった。
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